京都アニメーション放火殺人事件(京都市伏見区放火殺人事件、2019年07月18日)の資料収集の会

(元・オウム真理教事件・資料収集および独立検証の会、できるかぎり同時進行)

『カラマーゾフの兄弟』第11編

『カラマーゾフの兄弟』P256-261   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

告げたと、イヴァンに話した。『わたしがね、サモワールをかたづけにあの人の部屋へ入ると、あの人は壁の釘にぶら下ってるじゃありませんか』とマリヤは言った。『警察へ知らせましたか?』というアリョーシャの問いに対して、彼女は、まだ誰にも知らせない…

『カラマーゾフの兄弟』P244-255   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

「馬鹿!」とイヴァンはふたたび繰り返した。 「君はしじゅう同じことばかり言ってるが、僕は去年ひどいレウマチスにかかってね、いまだに思い出すよ。」 「悪魔でもレウマチスになるかな?」 「僕はときどき人間の姿になるんだもの。レウマチスぐらいにはか…

『カラマーゾフの兄弟』P232-243   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

あとで私をいじめたりなさることもできません。なぜって、そうなりゃ、私は法廷で何もかも言ってしまいますからね。しかし、何も私が盗んだり、殺したりした、なんて言うんじゃありませんよ……そんなことは言やしません……あなたから、盗んで殺せとそそのかさ…

『カラマーゾフの兄弟』P220-231   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

た私なぞは、まず警察へ突き出してしまうか……少くとも、その場で横面を張り飛ばすか、しなけりゃならんはずじゃありませんか。ところが、まあ、どうでございましょう、あなたは少しも怒るどころじゃない、その反対に、すぐ私のつまらない言葉をそのまま喜ん…

『カラマーゾフの兄弟』P208-219   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

ことや、出発の前夜、彼と交した最後の対話などを、絶えず思いつづけた。さまざまなことが彼の心を惑乱した。さまざまなことが、うさんくさく思われた。しかし、予審判事に申し立てをする時には、しばらくその対話のことは言わずにおいて、スメルジャコフと…

『カラマーゾフの兄弟』P202-207   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

「そうでしょうとも」と彼女は妙に毒々しい調子で断ち切るように言い、急に顔を赤くした。 「あなたはまだわたしというものをご存じないんですよ、アレクセイさん」と彼女は威嚇するように言った。「だけど、わたしもまだ自分で自分を知らないんですの。たぶ…

『カラマーゾフの兄弟』P190-201   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

「いや、カルルじゃない、ちょっと待ってくれ、おれはでたらめを言っちゃった、クロード・ベルナール(十九世紀フランスの生理学者)だ。クロード・ベルナールって一たい何だい? 化学者のことかい?」 「それは確か、ある学者です」とアリョーシャは答えた…

『カラマーゾフの兄弟』P178-189   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

てふいに出かけて殺してしまったんですもの。殺したくはない、殺したくはないと言ってながら、だしぬけに殺したんですよ。つまりこういうふうに、殺すまいと思っていながら、つい殺してしまったという点で、あの人は赦されるんですわね。」 「でも、兄さんは…

『カラマーゾフの兄弟』P172-177   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

affect→ affect (※前後を半角開ける、一番目立つところに書いておく)にわかるものですか! リーザがあなたとの約束を破ってからというものはね、アレクセイさん、あなたのとこへお嫁に行くという、あの子供らしい約束を破ってからというものは、何もかもみ…

『カラマーゾフの兄弟』P166-171   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

え? じゃ、あれに三ルーブリもたせて、肉入りパイを十ばかり紙に包んで届けさせておくれ。だからね、アリョーシャ、わたしが紳士《パン》たちに肉入りパイを持たせてやったって、あんたぜひミーチャに話してちょうだい。」 「どんなことがあったって話しゃ…

『カラマーゾフの兄弟』P161-165   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

第十一篇 兄イヴァン 第一 グルーシェンカの家で アリョーシャは中央広場のほうへ赴いた。彼は、商人の妻モローソヴァの家に住んでいるグルーシェンカのもとへと志したのである。彼女は朝早く、彼のところヘフェーニャをよこして、ぜひ来てもらいたいとくれ…