『罪と罰』第5編
の拍子に)、ナポレオンならこんなことでちゅうちょするどころか、それが非モニュメンタルだなんてことは夢にも考えなかったろう……いや、そこに何をちゅうちょすることがあるのか、それさえまるでわからなかったにちがいない、とこう考えついたときには、ぼ…
りませんよ」 部屋の中がしいんとなってしまった。泣いていた子供までが黙りこんだ。ソーニャは死人のように青い顔をして立ったまま、ルージンの顔を見つめるだけで、ひと言も返事ができなかった。彼女はまだ話がよくのみ込めないらしい。幾秒か過ぎた。 「…
なことはくだらない枝葉の問題ですよ! わたしなんかも、いつか自分の両親が死んだのを悔んだことがあるとすれば、それはもう、いつまでもなく今です。もしもまだ両親が生きていたら、それこそプロテスト(反抗)でもって、うんと心胆を寒からしめてやったも…
え、今まで押えていた声がりんりんと響きだした。 「許すわけにいきません!」と彼は出しぬけに叫ぶと、力いっぱい拳《こぶし》で机をたたきつけた。「あなた聞こえますか、ポルフィーリイ・ペトローヴィチ? 許すわけにいきません!」 「こりゃどうも、あな…