メモ002 「脱落者」の問題を説明できずに、オウム事件を説明したことにならない。
日本軍の歴史について一定以上の知識のある人が、オウム事件についての資料を一定以上読めば、「脱落者」に対する甘い態度に驚くことだろう。
日本軍には、「生きて虜囚の辱を受けず」という教えが極めて強い影響をもっており、これが原因で死傷した人の数は、おそらく十万の単位になるだろうと推定される。
これに対して、オウム事件では
1 少なくとも明らかになった事件の中で、「脱落者」もしくは「脱走者」で殺害された人がいない(侵入者はのぞく)。
2 弁護士一家殺人事件(岡崎一明、N会長の長男)、松本サリン事件(富田隆)、地下鉄サリン事件(林郁夫、数え方によっては実行犯グループの半数以上)、というように、大きな事件の後は、一人以上の脱落者がでている。
3 オウム真理教は、Oさんリンチ殺人事件(1994年1月30日)のあと、Hさんを追跡しているはずの最中に、また別の事件(たとえばT弁護士襲撃事件(1994年5月9日))をおこす。
4 死刑囚は全員、脱走経験のない。一方、長期受刑者の杉本繁郎と山形明は脱走経験がある。脱走後につれもどされたあとにも、重大な犯罪に参加させれらている。
など、異様な行動をとっている。
この問題を説明できずに、オウム事件を説明したことにならない。