【松本智津夫被告 松本サリン事件についての供述調書の要旨】
●1995年8月6日付 警察官調書
オウム真理教の一連の事件に対する私の立場については、一般の組織と違う点を十分に考慮に入れる必要があると思われます。と言いますのは、今回事件に関与したと言われている村井秀夫、新実智光、遠藤誠一、中川智正などは、一つのファミリーのような形で生活しているからです。つまり普通の人間関係と違い、一日に何度も会って話すという関係を考慮に入れないと、今回の事件を含めすべてのことが明らかにならないと思います。今回お聞きした話ですと、松本サリン事件は約一週間前謀議がなされ、その後実行に移ったという話ですが、これはあまりにも不自然です。詳しいことは裁判所で述べるとして、無理なストーリー作りに思われてなりません。私か指揮したとか命令したとかいう話ですが、教団の体質からその場合、準備に対する命令、準備完了の報告、開始時期の指示といったプロセスがなされなければならないはずです。これは絶対の権力を有すると言われる私の絡んだ計画および実行だとするのならば、当然のことと思われます。警察の方の話を聞いていると、この手順が踏まれていません。そしてこれは、絶対の権力を有する私と組織との関係だけでなく、一般企業においても一般組織においても同じパターンが行われるはずです。詳しいことについては、裁判所で明白にしていきたいと思います。
一連の事件を通じて私の感じることは、無理なこじつけによってストーリーが形成されていったのではないかと思われるのです。
●1995年8月6日付 検事調書
今回のいわゆる松本サリン事件につき、現時点では否認も自白も致しません。今回の事件は、教団に対する毒ガス噴霧(精神錯乱剤も含む)らによるパニックによるものと考えており、この毒ガス噴霧の事実が証明されるのであれば、私は今回の一連の事件につき正直に話します。私は弟子達を救済してやろうと思っているのです。