京都アニメーション放火殺人事件(京都市伏見区放火殺人事件、2019年07月18日)の資料収集の会

(元・オウム真理教事件・資料収集および独立検証の会、できるかぎり同時進行)

「教団発表の「事件に関する総合的見解表明及び抜本的教団改革の概要」の要旨」(2000年1月18日、『オウム法廷』11巻)

【教団発表の「事件に関する総合的見解表明及び抜本的教団改革の概要」の要旨】
《事件に関する総合的見解表明――上祐史浩
 ○はじめに
 教団としての見解を発表する上で、わたくし上祐がその任に当たる理由は、九五年の地下鉄サリン事件以降、教団の見解を公表してまいりましたが、本会見でその見解の誤りを正式に正すとともに、現在の任意団体の責任者というより、事件に関係のある宗教法人オウム真理教、旧教団の責任役員として謝罪をなし、今後の対処についてご説明することがわたしの務めであろうと考えたからでございます。
 ○一連の事件に関する事実認識について
 当団体は一連の事件のオウム真理教事件に関して、十二月一日の謝罪表明以降も検討を続けてきました。事件当事者でない者ばかりの教団であるがゆえに、事件に関する認識は必ずしも一様ではなかったものの、複数の旧教団最高幹部との直接接触が可能となったことも手伝って、一定の事実認識および事件の評価が出来るようになりました。
 その結果、任意団体となる以前の宗教法人オウム真理教については、諸々の裁判の判決や被告人の自供等により、一連の事件に対する、複数の幹部を中心とする一部の構成員が今なお係争中であるゆえ断定し得ないものの、現長老部メンバーおよび各部署のリーダーを中心とする教団執行部の見解としては、関与したのではないかと思われるという認識で一致しました。
 麻原開祖は、天才的な瞑想家であったと思われますが、その教団が引き起こした事件については肯定出来ません。そのヨーガ的才能の遺した優れたヨーガ・仏教の行法、瞑想法を引き継ぎつつ、ここに明確に事件については否定したいと思います。
 被害に遭われた方々、遺族の方々に改めて深くお詫び申し上げるとともに、同じ教団に所属していた者として責任を痛感するものです。この事実に鑑み、今後、抜本的な教団改革を行うべきだと考えます。

《抜本的教団改革の概要-村岡達子》
 ○オウム真理教事件補償等推進連絡会の設置について(略)
 ○抜本的改革による新体制の概要について
 事件についての反省に基づき、教団を以下のとおり抜本的に改革したいと思います。
 ①名称・代表者を変更し、一部教義の破棄を再徹底します。
 教団名「オウム真理教」の名称を変更し、新たに「アレフ」を団体名とします。また、教団改革後は麻原前代表を代表者とはせず、代表代行であったわたくし村岡がその任に就く予定です。
 新団体では教祖を置かず、麻原開祖の位置づけは、あくまでも観想の対象・霊的存在であって、信者に指示する存在とはしません。新団体の根本的崇拝対象は、シヴァ大神と諸仏と定めます。また、グルとは経典の解釈者を表し、これまでに極めて多数のグルが存在し、唯一絶対的な存在とは定義しません。
 新団体の経典教材については、麻原前代表の作った旧団体の古代ヨーガ、原始仏教大乗仏教の教えに限定した経典を作成し、この経典を基本経典とします。その一方で、刑事事件との関係もいわれている危険とされる教義を破棄し、その実践を否定し、それを明確にするためにその旨の新経典を作成し、全信者に周知徹底させたいと思います。
 ②上記の趣旨に基づく新体制の発足にあたって、従来の信者から改めて入会申込書と誓約書の提出を求めます。この誓約書では、新団体の構成員はあらゆる法令を遵守し、無差別大量殺人行為はもちろん、人を殺傷する行為は絶対に行ってはならないことを明確にうたい、たとえ、麻原前代表の指示であっても、違法行為をなすことは一切禁止します。
 ③この抜本的改革に鑑み、これまでの支部活動体制はいったん白紙に戻し、今後のあり方について検討したいと思います。
 ④内部組織は、長老部を廃止し、各部署のリーダー数十名の集まりによって認められた十名ほどの執行部を設け、事件の原因ともいわれる上層部への権力集中を和らげ、部署の大幅な統廃合を行い、組織を一新します。
 ⑧過去の事件と現教団を完全に遮断するために、反省の意を表明していない重大事件の関与者との連絡を禁止いたします。また、昨年(九九年)九月の強制捜査時に有毒ガスに関する資料が押収・公表されましたが、国民の皆様の誤解を招かぬよう、被告人信者とその弁護人の依頼によって有毒ガスに関する資料を公判用に教団が収集していたことを今後は一切とりやめます。
 ○新法観察処分について
 現教団には全く危険性がなく、新法は極めて違憲性が濃いものの、処分が決定された場合については、立ち入り検査によって教団の安全性が第三者によって立証されることになると考えています。しかしながら、法の運用の仕方によっては、多大な人権侵害が引き起こされることが憂慮されます。例えば、事件に全く関係のない大半の信者、特に在家信徒についてまで、氏名・住所を報告することを求められるとしたなら、在家信徒の生活が破壊されかねず、極めて不合理に思え、その対応に苦慮しております。
 ○終わりに
 以上の見解は、数日前の執行部会で決定され、全出家信徒にはその概要を説明済みであり、在家信徒に関しても現在説明を進めているところです。なお、すでに教団代表・教祖を辞している麻原前代表に今回の発表内容について相談してはおりませんが、報告の機会があれば報告し、理解を求めます。また、前代表については、自身の関与はともかく、少なくとも教団の関与を自身で認めている以上、当時の教団代表者としての責任について何らかの見解を表してほしいと願っています。