京都アニメーション放火殺人事件(京都市伏見区放火殺人事件、2019年07月18日)の資料収集の会

(元・オウム真理教事件・資料収集および独立検証の会、できるかぎり同時進行)

「オウム観察処分請求の要旨」(2000年12月27日、『オウム法廷』11巻)

【オウム観察処分請求の要旨】
〔一〕被請求団体の「団体」該当性等
 被請求団体は、麻原彰晃こと松本智津夫を教祖・創始者として結成され、麻原の説くオウム真理教の教義を広め、これを実現することを共同目的とし、これを達成するための、出家信徒約五百人以上および在家信徒約千人以上からなる継続的結合体であり、同法第四条第二項本文の「団体」に該当する。
〔二〕本団体が団体の活動として「無差別大量殺人行為」を行ったこと
 本団体は、遅くとも一九八九年ごろ、麻原が独裁者として統治する祭政一致専制国家体制を我が国に樹立するという政治上の主義を持つに至り、この政治上の主義を推進する目的をもって、麻原を首謀者とし、その役員および構成員が本団体の活動として、九四年六月二十七日にいわゆる松本サリン事件を、また九五年三月二十日にはいわゆる地下鉄サリン事件をそれぞれ起こした。
 以上の両事件は、「破壊活動防止法に掲げる暴力主義的破壊活動であって、不特定かつ多数の者を殺害し、またはその実行に着手してこれを遂げないもの」であるから、団体規制法第四条第一項にいう「無差別大量殺人行為」に該当し、本団体は、同法第五条第一項にいう「その団体の役職員または構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体」に該当する。
〔三〕団体規制法第五条第一項各号該当性
 本団体は、次の通り、同法第五条第一項各号に掲げる事項のいずれにも該当する。
 1 前記両事件の首謀者は、麻原であり、麻原の説法内容が本団体の教義とされ、現時点においても、本団体の役員および構成員は、その教義に従って活動しており、さらに、公判廷における麻原の発言が本団体の活動に直ちに反映することなどから、麻原は、現在、本団体の活動に影響力を有している。
 2 前記両事件の首謀者である麻原が現在も本団体の代表者たる役員であるほか、「地下鉄サリン事件」の実行行為者である横山真人が現在も本団体の構成員である。
 3 前記両事件が行われた時に本団体の代表者たる役員であった麻原が現在も本団体の代表者たる役員であるほか、前記両事件が行われた時にそれぞれ本団体の文部省大臣および車両省大臣という役員であった信徒二人が、現在、本団体の合議制の意思決定機関である長老部を構成する役員である。
 4 麻原が説法で説く秘密金剛乗(タントラ・ヴァジラヤーナ)は、解脱者の判断により殺人を行うことを正当化する内容となっている。麻原は、説法において、その役員および構成員に対し、解脱するための修行を督励していたものであるが、その説法の内容は、本団体の最高位の教義として維持され、現在も本団体によって書籍等により構成員に知らしめられていることから、本団体は、殺人を暗示的に勧める綱領を保持している。
 5 本団体は、前記教義を保持している上、現在においても、前記〔二〕に記載の両事件は宗教上の救済であるとして構成員にその正当性を説いていること、関連事件により服役し、あるいは釈放された後に本団体に復帰した者も含めて、前記〔二〕に記載の「松本サリン事件」および「地下鉄サリン事件」が行われた時の構成員を多数擁していること、位階制度や集団居住など従前と同質の組織構造を継続していることなど、本団体には無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実がある。
〔四〕本団体の活動状況を継続して明らかにする必要性
 本団体は、前述したとおり同法第五条第一項各号に掲げる事項のいずれにも該当し、危険な要素を保持している団体であることは明白であるところ、(1)九七年一月三十一日の破防法に基づく解散指定処分請求棄却決定後、全国各地において活動を活発化させているが、一般社会と融和しない独自の閉鎖社会を構築し、拠点施設確保に当たり、他人名義を用い、活動実態を隠蔽するなど、組織体質は極めて閉鎖的である上、(2)地下鉄サリン事件等一連の刑事事件は、麻原を首謀者とし、同人が唱える危険な教義に基づいて組織的に行われた事件であることが明らかであるのに、一貫してこれを認めていないなど、虚偽的・欺瞞的な組織体質を有しているので、本団体の活動状況を継続して明らかにする必要がある。