1990-09-01から1ヶ月間の記事一覧
「酔ってるか酔ってねえか。わかったもんじゃねえ」と職人はつぶやいた。 「ほんとうになんの用なんですね?」そろそろ本気に腹を立てながら、庭番はまたもやどなりつけた。「何をいつまでもへばりついてるんだ?」 「警察へ行くのがこわくなったのかい?」…
識をひけらかしたかったんでしょう。それは大いに酌量《しゃくりょう》すべきことで、ぼくもべつにとがめ立てしません。ただぼくは今あなたがどんな人か、ちょっと知りたかっただけなんですよ。なぜといってね、おわかりでしょう。近ごろでは一般の福祉なる…
ーリニコフは顔をふり向けようともせずにたずねた。 「つかなかったとも、そのために気ちがいみたいにおこりだしたほどだよ。ことにぼくが一度ザミョートフをつれて来たときなど、そりゃたいへんだったぜ」 「ザミョートフを?……事務官を?……何のために?」…
ったか?」 ラヴィーザ・イヴァーノヴナは、気ぜわしない愛嬌《あいきょう》をふりまき、四方八方へ小腰をかがめながら、戸口まであとずさりして行った。ところが、ドアのところで、あけっ放しのすがすがしい顔に、ふさふさとしたみごとな亜麻色のほおひげを…
間に、何もかも思い出したのである! 最初の瞬間、彼は気がちがうのかと思った。恐ろしい悪寒《おかん》が全身を包んだ。もっともその悪寒は、まだ寝ているうちからおこっていた熱のせいでもある。ところが、今はふいに激しい発作《ほっさ》となって襲って来…
プロハルチン氏 フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)朔日《ついたち》|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)毎月|朔日《ついたち》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の…
ポルズンコフ フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)糧《かて》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) …
[#6字下げ]2 その翌晩、イタリア劇場の出し物は何かのオペラであった。イヴァン・アンドレーイチは、まるで爆弾のように客席へ飛び込んだ。彼が音楽に対してこれほどのfurore 即ち情熱を示したことは、いまだかつてその例がないのであった。少なくとも…
人妻と寝台の下の夫 フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)彼女《あれ》|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)今夜|仮面舞踏会《マスカラード》[#]:入力者注 主に外字の説明…
正直な泥棒 フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)戸外《おもて》|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)たまに|きゃべつ汁《シチイ》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の…
クリスマスと結婚式 フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)降誕祭樹《ヨルカ》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のペ…