京都アニメーション放火殺人事件(京都市伏見区放火殺人事件、2019年07月18日)の資料収集の会

(元・オウム真理教事件・資料収集および独立検証の会、できるかぎり同時進行)

『カラマーゾフの兄弟』第9篇

『カラマーゾフの兄弟』P100-111   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

ったまま、沈みがちに黙って聞いていた。『ちぇっ、勝手な申し立てをするがいい。もうこうなりゃ、どうだって同じことだ!』とでもいったような、わびしげな疲れた様子をしていた。 「あいつらにやっただけでも、千ルーブリどころじゃありませんよ、ドミート…

『カラマーゾフの兄弟』P094-099   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

「ええ、それは何とも言いようのない陋劣な話です! みなさん、自分ではおわかりになりますまいが、あなた方は私を苦しめていられるんですよ! どうかすっかり言わせて下さい。私はいま自分の極道さ加減をきれいに白状してしまいます。しかし、それは、あな…

『カラマーゾフの兄弟』P088-093   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

ものでした。」 検事と予審判事の顔は長く延びた。彼らもこういうことはまったく予期しなかったのである。 「どういうわけであなたのです[#「どういうわけであなたのです」はママ]」とニコライは呟いた。「まだその日の五時には、あなた自身の申し立てに…

『カラマーゾフの兄弟』P076-087   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

飛びおりたのは、自分の犯罪の唯一[#「唯一」に傍点]の証人が生きているかどうか、正確に突きとめるためにすぎなかった。あんな場合でさえこうであるから、この男の力と決断と冷静と思考力とは量るべからざるものがある……云々、云々。彼は『病的な人間を…

『カラマーゾフの兄弟』P064-075   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

す。」 「抵当に入れました、みなさん、十ルーブリの抵当に入れましたよ。それがどうしたんです! それだけのことです、旅行から町へ引っ返すと、すぐ抵当に入れたのです。」 「え、旅行から引っ返したんですって? あなたは町の外へ出ましたか?」 「出まし…

『カラマーゾフの兄弟』P052-063   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

リゴーリイを見つけ出したのである。けれども、見つけた場所は、彼が打ち倒された塀のそばではなく、塀から二十歩も離れたところであった。これは後でわかったことだが、グリゴーリイは正気づいて、這い出したのである。おそらく幾度となく意識を失ったり、…

『カラマーゾフの兄弟』P042-051   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

第九篇 予審 第一 官吏ペルホーチンの出世の緒 ピョートル・イリッチ・ペルホーチンが、モローソヴァの家の固く鎖された門を力ーぱいたたいているところで、われわれは一たん話の糸を切っておいたが、彼はもちろん、最後に自分の目的を達した。猛烈に門の戸…