京都アニメーション放火殺人事件(京都市伏見区放火殺人事件、2019年07月18日)の資料収集の会

(元・オウム真理教事件・資料収集および独立検証の会、できるかぎり同時進行)

『カラマーゾフの兄弟』P094-099   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))

「ええ、それは何とも言いようのない陋劣な話です! みなさん、自分ではおわかりになりますまいが、あなた方は私を苦しめていられるんですよ! どうかすっかり言わせて下さい。私はいま自分の極道さ加減をきれいに白状してしまいます。しかし、それは、あなた方に恥を知らせるためですよ。人間の感情のコンビネーションが、どれくらいまで陋劣になり得るかを知ったら、あなた方もびっくりされるでしょう。実はね、検事さん、私もあなたがいま言われた方法を、自分で講じたことがあるんですよ。そうです、みなさん、私もこの呪うべき一カ月の間、そういう考えをいだいていました、で、もうほとんどカーチャのところへ出かけよう、とまで決心していたくらいです。私はそれほど陋劣になっていました。しかし、あれのところへ行って、自分の心変りを打ち明けたうえ、この心変りのために、この心変りを実行するために、将来この心変りに要する費用のために、あの女に、カーチャに金を無心して(無心するんです、いいですか、無心するんですよ!)そして、すぐほかの女と一緒に、あれの競争者と一緒に、あれを憎みあれを侮辱した女と一緒に駈落ちするなんて、――そんなことができるものですか。あなたは気がどうかしていますよ、検事さん!」
「どうかしているかいないか、それは別として、しかし私はつい夢中になって、ろくに考えもしないで言ったんですよ……まったくそうした女性の嫉妬については、もしあなたの言われるとおり、そこにじっさい嫉妬があったとすれば……そうです、そこには何かそれに類したものがあるでしょう……」と言って、検事はにたりと笑った。
「しかし、それは実に穢らわしいことです。」ミーチャは勢い猛に拳でテーブルを叩いた。「それはもう何と言っていいかわからないほど、悪臭芬々たる行為です! そうでしょう、あれはその金を私にくれたでしょう。ええ、くれたでしょう、確かにくれたでしょう。わたしに対する復讐のために、復讐を楽しむ心持のために、私に対する軽蔑を示すために、くれたでしょう。なぜと言って、あれもやはり偉大なる怒りに充ちた、兇悪な女ですからなあ! 私はその金をもらったでしょう。ええ、もらったでしょう、もらったに違いありません。しかし、その時は一生涯……ああ、実に! 失礼しました、みなさん、私がこんなに呶鳴るのは、私がもうずっと前から、一昨日あたりから、自分でもそういう考えを持っていたからです。それはちょうど、私が猟犬《レガーヴィ》を相手にして騒いだ夜です。それから昨日、そうです、きのうも一日そうでした。私は憶えていますが、ちょうどこの事件が起るまで……」
「どんな事件です?」ニコライは好奇に充ちた調子で口を挿んだ。が、ミーチャはそれをよく聞き取ろうとしなかった。
「私はあなた方に恐ろしい告白をしました」と彼は沈んだ様子で言葉を結んだ。「みなさん、だから、その自白を評価して下さい。いや、そればかりじゃたりません、評価するばかりじゃたりません、評価するというよりは、むしろ尊重して下さい。もし尊重して下さらなければ、もしこの言葉さえあなた方の心を動かさないとすれば、つまり、それは私をまったく尊敬していない証拠だと、こうあなた方に断言します。私はあなた方のような人に自白したのが恥しい。私はむしろ死にたいくらいです! ええ、自殺します! しかし、私にはわかります、よくわかります、あなた方は私の言うことを、本当にしてはおられないんです! やっ、あなた方はこれまで書きとめようというんですか?」彼はもう本当にぎょっとしてこう叫んだ。
「しかし、今あなたはこんなことを言いましたね。」ニコライはびっくりして彼を見つめた。「ほかでもありませんが、あなたは最後の瞬間まで、ヴェルホーフツェヴァ嬢のところへ行って、その金を借りるつもりであった、と言われましたね……実際のところ、これはわれわれにとって非常に重大な申し立てですよ、ドミートリイ・フョードロヴィッチ、つまり、その、事件ぜんたいに関してですな……ことにあなたにとって、ことにあなたにとって重大な申し立てです。」
「冗談じゃありませんよ、みなさん」とミーチャは思わず手を拍った。「せめてそれだけは書かないで下さい。恥を知るもんですよ! 私はいわば、自分の心をあなた方の前で真っ二つに割って見せたんです。ところが、あなた方はこの機に乗じて、その割れ目を指でほじくり廻すんです……ああ、何ということだ!」
 彼は絶望のあまり、両手で顔を蔽うた。
「そんなに心配なさらなくってもいいですよ、ドミートリイ・フョードロヴィッチ」と検事は言った。「いま書きとめたことは、あとですっかりあなたにお聞かせしますから、もし不服な点があったら、あなたのお言葉どおりに訂正します。が、今わたしは一つ繰り返してお訊きしたいことがあります、これでもう三度目なんです。あなたがこの金を袋の中へ縫い込んだことを、あなたから聞いたものは一人もないのですか? 本当に誰ひとりもないのですか? 私はあえて言いますが、それはほとんど想像できないことですよ。」
「誰も聞きません、誰も聞かない、と言ったじゃありませんか。あなた方は何もわかっていないのです! もううるさく訊かないで下さい。」
「それではどうぞご随意に。が、このことはぜひ闡明しなけりゃならないんです。それに、このさきまだ時日はいくらでもありますからね。しかし、まあ考えてごらんなさい、三千ルーブリの金を使ったということは、あなたが自分で吹聴して廻ったんですよ。のみならず、あなたは到るところでそのことを、大っぴらにわめき散らしたじゃありませんか。証拠は何十といってあります。あなたが言われたのは三千ルーブリで、千五百ルーブリじゃありません。それに今度も、きのう金が出て来たとき、また三千ルーブリもって来たと、やはり大勢の人に言われたじゃありませんか……」
「何十どころじゃありません、何百という証拠があなた方の手に握られています。証拠は二百もあります、聞いた者は二百人もあります、いや、千くらい聞いたでしょう!」とミーチャは叫んだ。
「ね、そうでしょう。誰も彼もみんな証明しています。してみれば、みんな[#「みんな」に傍点]という言葉は、何かの意味を持っているはずですよ。」
「何の意味もありませんよ。私がでたらめを言ったら、みんなが私のあとについて、でたらめを言うようになったんです。」
「しかし、あなたは何のために(あなたの言葉を借りると)、でたらめ[#「でたらめ」に傍点]を言わなければならなかったのです?」
「そんなこと誰が知るもんですか。自慢のためかもしれませんね……ちょっとその……どうだ、こんなにたくさんの金を使ったぞといったような……あるいはまた例の縫い込んだ金のことを、忘れたかったからかもしれません……そうです、まったくそのためなんですよ……ええ、ばかばかしい……幾度あなたはそんなことを訊くんです? ただでたらめを言ったのです、それっきりです。一どでたらめを言ってしまったから、もう訂正したくなかったんです。人間というものはどうかすると、くだらない動機からでたらめを言うものですよ。」
「ドミートリイ・フョードロヴィッチ」と検事は諭すように言った。「どんな動機から人が嘘を言うかってことは、容易に決定できるもんじゃありません。ときにお訊ねしますが、あなたの頸にかかっていたその守り袋なるものは、大きなものでしたか?」
「いいえ、大きくはありません。」
「例えば、どのくらいの大きさです?」
「百ルーブリ紙幣を半分に折った、まあそれくらいの大きさです。」
「では、そのきれというのを、見せていただけないでしょうか? いずれどこかに持っておいででしょうから。」
「ええ、ばかばかしい……何というくだらない……そんなものがどこにあるか知るもんですか。」
「しかし、まあ、聞かせて下さい、いつどこであなたはその袋を頸からはずしたんです? あなたの申し立てによれば、家へは寄らなかったのでしょう?」
「ええ、フェーニャのところを出ると、すぐペルホーチンの家へ向けて行きましたが、その途中で頸から引きちぎって、金を取り出したんです。」
「暗闇の中で?」
「蠟燭なんか何にします? そんなことは指一本ですぐできましたよ。」
「往来で鋏もなしに?」
「広場だったと思います。鋏なんか何にします? 古いぼろきれですもの、すぐに破れてしまいました。」
「それから、そのきれをどこへやりました?」
「その場で棄ててしまいました。」
「それはどこです?」
「広場です、とにかく、広場に棄てたんです。広場のどこだったか、そんなこと誰が知るもんですか。一たいあなたはそれを聞いてどうなさるんです?」
「ドミートリイ・フョードロヴィッチ、それは非常に重大なことです。あなたのためになる証拠物件なんです。どうしてあなたはそれを理解しようとしないのです? 一カ月前それを縫う手つだいをしたのは誰ですか?」
「誰も手つだいません。自分で縫ったんです。」
「あなたに縫えるんですか?」
「兵隊は縫うすべを知ってなけりゃならない。しかし、あんなものにはすべも何もいりゃしません。」
「あなたはその材料を、つまり、袋を縫ったぼろきれを、どこから持って来ましたが?」
「一たいあなたは私をからかってるんじゃありませんか?」
「決してからかやしません。それに、からかうなんて場合じゃないですよ、ドミートリイ・フョードロヴィッチ。」
「どこからぼろきれを持って来たか、どうも憶えがありません。いずれどこからか持って来たんですよ。」
「それくらいのことは憶えていられそうなもんですね。」
「しかし、本当に憶えていないんです。たぶん肌着か何かを引き裂いたんでしょう。」
「それは非常におもしろい。明日あなたの下宿へ行って、その品を捜してみましょう。きれを取ったらしいシャツが出て来るかもしれませんからねえ。そのきれは、どんなものです? 厚地ですか、薄地ですか?」
「どんなものだったか憶えてるもんですか。ちょっと待って下さい……ほかのきれから引き裂いたんじゃないようです。あれはキャラコでした……何でもかみさんのナイト・キャップで縫ったような気がします。」
「かみさんのナイト・キャップで?」
「そうです、かみさんのところから盗み出したんです。」
「盗み出したとは?」
「それはこうです。私は実際いつだったかナイト・キャップを一つ、雑巾にしようと思ったのか、それともペン拭きにしようと思ったのか、とにかく盗み出したことがあります。こっそりと持って来たんです。それで、何の役にも立たないぼろきれが、私のところに転かっていましたが、ちょうどこの千五百ルーブリの置場に困ったので、それを縫い込んだわけなんです……まったくこのぼろきれに縫い込んだらしい。幾度となく洗い哂した、古いキャラコのきれなんですよ。」
「では、あなたは確かにそう記憶しておいでですか?」
「確かにそうだったかどうか知りません。何でもナイト・キャップだったと思うんです。いや、そんなことはどうだってかまいませんよ。」
「そうだとすれば、少くとも、かみさんは自分のナイト・キャップがなくなったのを、思い出すことができるでしょうね?」
「いいえ、かみさんは気もつかないんですよ。幾度も言ったとおり、古いぼろぼろなきれで、一文の値うちもないんですからなあ。」
「じゃ、針はどこから持って来たんです? 糸は?」
「私はよします。もう言いたくありませんよ。たくさんですよ。」とうとうミーチャは怒りだした。
「それにしても、おかしいですね、あなたが広場のどういうところで、その……守り袋を棄てたか、すっかり忘れておしまいになるなんて。」
「では、あす広場を掃除さしてごらんなさい。ひょっとしたら見つかるかもしれませんから。」ミーチャはにたりと笑った。「たくさんですよ、みなさん、たくさんですよ」と彼は疲れきったような声でこう言い切った。「あなた方が私を信じていられないのは、もうよくわかりました! 何一つ、これっからさきも信じてはおられません。しかし、私が悪いんです、あなた方の罪じゃない。何も出しゃばる必要はなかったんですよ。何だって、何だって私は自分の秘密をあかして、自分で自分を穢したんでしょう! あなた方にとってはただ滑稽なだけです、その目色でわかりますよ。検事さん、これはあなたが私を吊り出したんです! もしできるなら凱歌でもお上げなさい……あなた方は永久に呪われた拷問者だ!」
 彼はうなだれ、両手で顔を蔽うた。検事と判事は黙っていた。やがてミーチャは頭を上げて、ぼんやり彼らを見やった。その顔にはもはや取り返しのつかない、極度の絶望が現われていた。彼は妙にむっつりおし黙って、椅子に腰かけたまま、忘我の境におちいったようなふうつきであった。が、それにしても、事件を片づける必要があった。すぐ証人の審理に移らなければならなかった。もう朝の八時で、蠟燭はとうに消された。審問のあいだ絶えず出たり入ったりしていたミハイル・マカーロヴィッチと、カルガーノフとは、この時ふたたび出て行った。検事も判事も、やはり非常に疲れたような顔つきをしていた。それは欝陶しい朝であった。空は一面雲に蔽われ、雨は盆を覆すように降りしきっていた。ミーチャはぼんやり窓を見つめていた。
「ちょっと窓を覗かせてもらえませんか?」ミーチャは突然ニコライに訊いた。
「さあさあ、いくらでも」とニコライは答えた。
 ミーチャは立ちあがって窓に近づいた。雨脚は、青みがかった小さい窓ガラスを、烈しく叩いていた。窓のすぐ下には泥ぶかい街道がつづいて、その先には雨靄の中に、黒ずんだ、貧しげな、醜い百姓家が並んでいたが、雨のために一段と黒ずんで貧しげに見えた。ミーチャは『金髪のアポロ』のことや、その最初の輝きとともに自殺しようと考えていたことなどを思い出した。『しかし、こういう朝のほうがかえってよかったかもしれない』と考えて、彼は薄笑いをうかべた。と、急に片手を上から下へと振って、『拷問者たち』のほうへ振り向いた。
「みなさん!」と彼は叫んだ。「私は自分の身が破滅だってことを知っていますが、しかし、あれは? あれのことを聞かせて下さい、お願いです。あれも私と一緒に破滅しなければならんのでしょうか? あれに罪はないです。あれが昨日『みんなわたしが悪いのです』と叫んだのは、夢中で言ったことなんです。あれには決して、決して罪はありません! 私はあなた方と一緒に話してるうちにも、夜どおし心配でたまらなかったです……あなた方は今あれをどうなさるつもりか、聞かせていただくわけにゆきませんか? 駄目でしょうか?」
「ドミートリイ・フョードロヴィッチ、そのことなら決してご心配なく。」検事はいかにもせき込んだらしい調子で、すぐにこう答えた。
「あなたが切実な興味を感じていられるあのご婦人に対して、何事にもあれ心配をかけるような理由は、まだ今のところ少しもありません。このさき事件が進行しても、やはり同じことだろうと思います、そうあってほしいものです……この意味においては、むしろ私たちのほうから、でき得るだけのことをするつもりですから、決してご心配のないように。」
「みなさん、感謝します。いろんなことはありましたが、何といっても、あなた方はやはり潔白で公平な方です。私はそれを見抜いていました。あなた方は私の心から重荷を取りのけてくれました……さて、これからどうするんです? 私はもう何でも悦んで。」
「そうですね、なにしろ急がなければなりません。さっそく証人の審理に移りましょう。これもやはり、ぜひあなたの面前で執行することを要するのです。それで……」
「しかし、まずお茶を飲んではどうでしょう?」とニコライは遮った。「もう大分かせぎましたからね!」
 もし下にお茶の支度ができておれば(ミハイル・マカーロヴィッチが出て行ったのは、きっと『一杯飲んで』来るために相違ないと想像したので)、一杯ずつ飲んだ上で、あらためて『大いにやろうじゃないか」ということに一決した。正式のお茶とザクースカは、もっと時間に余裕ができるまで延ばすことになった。はたして、下にはお茶の支度ができていたので、さっそく二階へ運ばれた。初めミーチャは、ニコライが愛想よくすすめるお茶を辞退したが、やがて自分のほうから求めて、貪るように飲みほした。しかし、全体に何だかひどく疲れたような顔つきであった。ちょっと考えると、あんな古英雄のような力を持っている男だから、たとえいくら強烈な刺戟に充ちていたからとて、一晩くらいの徹夜の宴は、彼にとって何ほどのこともないはずであったが、しかし、彼は自分でもやっとの思いで腰かけているのを感じた。どうかすると、すべての物が目の前を動きだしたり、ぐるぐると廻ったりするような気がした。
『も少したったら、譫言を言いだすかもしれないぞ』と彼は心の中で考えた。

   第八 証人の陳述『餓鬼』

 証人の審問が始まった。けれど、筆者はもう今までのように、詳しく話しつづけることをやめよう。それゆえ、呼び出された証人が一人一人、ニコライの口から、お前たちはまっすぐに正直に申し立てなければならぬ、あとで宣誓をしたうえ、その陳述を繰り返さなければならないのだから、などと言い聞かされたことも省略しよう。また終りに証人一人一人が、その陳述調書に署名を要求されたことも省こう。ただ一つ言っておかなければならぬことがある。と言うのは、審問者が何より最も注意をはらった要点は、主として三千ルーブリの問題であった。つまり、初めの時、すなわち一カ月前このモークロエで、ドミートトーリイが初町で豪遊をきわめた時に使った金は、三千ルーブリであったか、それからまた、昨日の二回目の豪遊の時は三千ルーブリであったか、千五百ルーブリであったか、という問題である。しかし、悲しいかな、すべての証明はことごとくミーチャの申し立てに反していた。一つとしてミーチャの利益になる証拠はなかった。中には、ほとんど仰天するような新しい証拠を提供して、ミーチャの申し立てを根底から覆すものさえあった。まず第一に審問されたのは、トリーフォンであった。彼は審問者の前に出ても、つゆいささか臆する色がないばかりか、むしろ被告に対して厳格、かつ峻烈な憤懣の色を示しながら現われた。それがために、彼は否応なく自分の申し立てをきわめて正直なものと認めさせたうえ、自分自身にも一種の威厳を添えたのである。彼は少しずつ控え目に口をきき、訊ねられるのを待ってから、考え考え正確に答えた。彼がきっぱりと、歯に衣着せず答えたところによると、一カ月前に使った金は三千ルーブリ以下であろうはずがない、ここの百姓たちでもみんな『ドミートリイ・フョードルイチ』の口から三千ルーブリと聞いた、と申し立てるに相違ない。「ジプシイの女たちだけにでも、どのくらい金を撒いたかしれやしません。あいつらだけにでも千ルーブリ以上ふんだくられましたよ。」
「五百ルーブリもやりゃしなかったくらいだ」とミーチャはこれに対して沈んだ調子で言った。「もっとも、あのとき勘定なんかしなかったが……酔っ払っていたもんだから。残念だなあ……」
 この時ミーチャはカーテンを背にして、テーブルのわきに坐