京都アニメーション放火殺人事件(京都市伏見区放火殺人事件、2019年07月18日)の資料収集の会

(元・オウム真理教事件・資料収集および独立検証の会、できるかぎり同時進行)

実証実験_文献の電子化にかかる時間はどれだけか?

『カラマーゾフの兄弟』P162-166   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦60日目]

ャのいわゆる『あの恐ろしい日』のことを、グルーシェンカに話したかもしれん。ああ、そうだ、話し化、やっと思い出したよ! やはりあの時モークロエ村で話したんだ。何でも、おれはぐでんぐでんに酔っ払っていて、まわりではジプシイの女どもが歌をうたって…

『カラマーゾフの兄弟』P158-161   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦59日目]

び声を聞きつけて、部屋の中へ駆け込んだ。一同は彼女の方へ飛びかかった。 「ええ、帰るわ。」長椅子から婦人外套を取りながら、グルーシェンカはそう言った。「アリョーシャ、わたしを送ってちょうだいな!」 「お帰んなさい、はやくお帰んなさい、お頼み…

『カラマーゾフの兄弟』P154-157   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦58日目]

ような美しさも、三十近くなったら調和を失ってぶくぶく肥りだし、顔まで皮がたるんでしまって、目のふちや額には早くも小皺がよりはじめ、顔の色は海老色になるかも知れない、――つまり、ロシヤ婦人の間によくある束の間の美、流星の美だというのである。 ア…

『カラマーゾフの兄弟』P150-153   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦57日目]

に対する考えを、あんな偉そうな調子で言ったのが恥しくもあった。 こういうことがあっただけに、いま自分のほうへ駆け出して来たカチェリーナを一目見た時、彼の驚きはなおさら強かった。もしかしたら、あの時の考えがまるで誤っていたかもしれない、と感じ…

『カラマーゾフの兄弟』P146-149   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦56日目]

悲しそうに言った。 「いいや、いいや、いいや。あれはお前の言葉を信用する。今度のはな、お前自身でグルーシェンカのとこへ行くか、それともほかに何とかしてあれに会うて、あれがどっちを取る気でおるか、――わしかあいつか、どっちにする気でおるか、訊い…

『カラマーゾフの兄弟』P142-145   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦55日目]

老人はその目の光にびくっとした。しかし、その時、ほんの一瞬間ではあったけれども、きわめて奇怪な錯誤が生じたのである。その際老人の頭から、アリョーシャの母はすなわちイヴァンの母である、という想念が脱け出してしまったらしい。 「お前の母親がどう…

『カラマーゾフの兄弟』P138-141   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦54日目]

イヴァン、誰が一たい人間をこんなに愚弄するんだろう? もう一ペん最後にはっきり言うてくれ、神はあるのかないのか? これが最後だ!」 「いくら最後でも、ないものはないのです。」 「じゃ、誰が人間を愚弄しておるのだ、イヴァン?」 「きっと悪魔でしょ…

『カラマーゾフの兄弟』P134-137   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦53日目]

けたほかの人を、みんな一人残さず呪いつくして、少しも容赦なさらないでしょうか? こういうわけですから、一たん神様を疑うようなことをしたところで、後悔の涙さえこぼしたら赦していただけるものと、私は信じているのでございますよ。」 「待てよ、」フ…

『カラマーゾフの兄弟』P130-133   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦52日目]

り見まもるだろうが、何か何やら少しもわけはわからないのである。事実、すぐわれに返るに相違ないけれど、何をぼんやり立って考えていたのかと訊かれても、きっと何の覚えもないに違いない。しかし、その代り、自分の瞑想の間に受けた印象は、深く心の底に…

『カラマーゾフの兄弟』P126-129   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦51日目]

で、甘いものと一緒にコニヤクを飲むのが好きであった。イヴァンも同じく食卓に向ってコーヒーを啜っていた。二人の下男、グリゴーリイとスメルジャコフとがてーぶルのそばに立っていた。見受けたところ、主従とも並みはずれて愉快に元気づいているらしい。…

『カラマーゾフの兄弟』P122-125   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦50日目]

らないが、そうする必要があったんだろうよ)、これから県庁所在地の町へ行って、モスクワにいる姉さんのアガーフィヤヘ、為替で三千ルーブリ送ってくれとの頼みだった。県庁所在地まで行ってくれというのは、ここの人に知られたくないからだ。この三千ルー…

『カラマーゾフの兄弟』P118-121   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦49日目]

の損失が生じたので、おれの手もとへ返したのは、みんなで二百六十ルーブリくらいのものだったらしい。よくは覚えていない。しかし、ほんの金だけで、手紙もなければ一言の説明もない。おれは包みの中に、何かちょっと鉛筆でしるしでもしてないか、と思って…

『カラマーゾフの兄弟』P114-117   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦48日目]

ね?』 『それは何のこと? 何だってそんなことをおっしゃるの?せんだって将軍閣下がお見えになったとき、そっくりちゃんとあったわ。』 『その時はあっても今ないんですよ。』 『後生だから脅かさないでちょうだい、一たい誰から聞いて?』と恐ろしくびっ…

『カラマーゾフの兄弟』P110-113   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦47日目]

間てやつは自分の痛いことばかり話したがるものだよ。いいかい、今度こそ本当に用談に取りかかるぜ。」 第四 熱烈なる心の懺悔―思い出「おれはあっちにいる頃、ずいぶん放埒をつくしたものだ。さっき親父がおれのことを、良家の令嬢を誘惑するために、一時に…

『カラマーゾフの兄弟』P106-109   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦46日目]

が、お前自分であのひとと親父のところへ行くなんて。」 「本当に兄さんは僕を使いにやりたかったんですか?」病的な表情をおもてに浮べて、アリョーシャはこう口走った。 「待て、お前はこのことを知ってたんだ。お前が一遍にすっかり呑み込んじまったのは…

『カラマーゾフの兄弟』P102-105   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦45日目]

はともあれ、自分を侮辱しようなんて気は起すはずがない、こう彼は固く信じていた。彼は世界じゅうで誰ひとり自分を侮辱しようとするものはない、いな、単にないばかりでなく、できないのだと信じきっていた。これは彼が何らの推理をも要せずに、とうからき…

『カラマーゾフの兄弟』P098-101   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦44日目]

第二 リザヴェータ・スメルジャーシチャヤ この事件には、グリゴーリイの以前からいだいていた不愉快な穢わしい疑いを、弁護の余地がないほど明確に裏書きする事情があって、それが彼の心を深く震撼させたのである。 このリザヴェータは恐ろしく背の低い娘で…

『カラマーゾフの兄弟』P094-097   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦43日目]

「わからにゃわからんでええ。しかし、それはそうに違えねえだ。もうこのさき口いきくなよ。」 そして、本当に二人はこの家を去らなかった。フョードルは夫婦の者に僅かな給金を定めて、ちびりちびりと支払うのであった。しかし、グリゴーリイは疑いもなく主…

『カラマーゾフの兄弟』P090-093   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦42日目]

へ地主のマクシーモフが現われた。彼は一行に遅れまいと、息を切らせながら駆けつけたのである。ラキーチンとアリョーシャは、彼が走って来る様子を目撃した。彼は恐ろしく気をいらって、まだイヴァンの左足がのっかっている踏段へ、もう我慢しきれないで片…

『カラマーゾフの兄弟』P086-089   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦41日目]

ない正直な人間である、と固く信じて疑わない、これが彼に友情をよせているアリョーシャを悩ませたものである。しかし、これはアリョーシャばかりでなく、誰一人として仕方のないことであった。 ラキーチンは軽い身分であるから、食事に招待されるわけにはい…

『カラマーゾフの兄弟』P082-085   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦40日目]

うはっきりと言いきるの?」アリョーシャは眉をひそめながら、突然つっけんどんにこう言った。 「じゃ、なぜ君は今そういって訊きながら、僕の返事を恐れてるんだい? つまり、僕の言ったことが本当だってことを承認してるようなもんじゃないか。」 「君はイ…

『カラマーゾフの兄弟』P078-081   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦39日目]

想念を押しこたえることができなかった。それほど自分で自分の思いに心をひしがれたのである。彼は径の両側につらなる、幾百年かへた松の並木をじっと見つめた。その径は大して長いものでなく、僅か五百歩ばかりにすぎなかった。この時刻に誰とも出くわすは…

『カラマーゾフの兄弟』P074-077   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦38日目]

ほどの値うちもないと考えたわけでしょう。あの『じごく』はこういうえらい女ですよ!」 「恥しいことだ!」と、突然ヨシフが口をすべらした。 「恥しい、そして穢わしいことだ!」しじゅう無言でいたカルガーノフが突然真っ赤になって、子供らしい声を顫わ…

『カラマーゾフの兄弟』P070-073   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦37日目]

「まるきりふざけたのではない、それは本当じゃ。この思想はまだあなたの心内で決しられてないので、あなたを悩まし通しておるのじゃ。しかし、悩めるものも時には絶望のあまり、自分の絶望を慰みとすることがある。あなたも今のところ、絶望のあまりに雑誌…

『カラマーゾフの兄弟』P066-069   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦36日目]

だまだ遠いように思われることも、神の定めによればもう実現の間際にあって、つい戸の外に控えておるかもしれませんじゃ、おお、これこそ、まことにしかあらせたまえ、アーメン、アーメン!」 「アーメン、アーメン!」とパイーシイはうやうやしくおごそかに…

『カラマーゾフの兄弟』P062-065   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦35日目]

リスト教発生後二三世紀の間、キリスト教は単に教会として地上に出現していました。そして、実際、教会にすぎなかったのです。ところか、ローマという異教国がキリスト教国となる望みを起した時、必然の結果として次のような事実が生じました。ほかでもない…

『カラマーゾフの兄弟』P058-061   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦34日目]

ことと信じますじゃ。よしや幸福にまで至らぬとしても、いつでも自分はよい道に立っておるということを覚えておって、その道から踏みはずさぬようにされたがよい。何より大切なのは偽りを避けることじゃ、あらゆる種類の偽りを避けることじゃ、あらゆる種類…

『カラマーゾフの兄弟』P294-298   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦34日目]

い。ところが、こないだの木曜日に、とつぜん坊主のイリンスキイが手紙をよこして、ゴルストキンがやって来たと知らせてくれた。これもやはりちょっとした商人で、わしは前から知っとるのだ。ただ有難いのは、この男がよその人間だということなんだ。ポグレ…

『カラマーゾフの兄弟』P054-057   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦33日目]

た。短い謎のような手紙にざっと目を通して見たが、ぜひとも来てくれという依頼のほか、まるで説明がなかった。 「ああ、それはあなたとして、ほんとうに美しい立派なことよ」とふいに|Lise《リーズ》は活気づいてこう叫んだ。「だって、あたし、お母さんに…

『カラマーゾフの兄弟』P282-293   (『ドストエーフスキイ全集』第12巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社))[挑戦33日目]

き始めた。こうした憎悪の念が、かくまで険悪な経過をとってきたのは、最初イヴァンの帰省当時、ぜんぜん反対な事実が生じたためかもしれぬ。当時、イヴァンは急にスメルジャコフに対して、一種特別な同情を示すようになったばかりでなく、彼を非常に風変り…