京都アニメーション放火殺人事件(京都市伏見区放火殺人事件、2019年07月18日)の資料収集の会

(元・オウム真理教事件・資料収集および独立検証の会、できるかぎり同時進行)

「破防法弁明手続き 松本智津夫教団代表の意見陳述(その一)」(『オウム法廷』2上巻)

※一部だけ引用する。

 受命職員 ただいまから、麻原彰晃こと松本智津夫創始者とし、同人が主宰する団体に対する破防法の弁明手続きの第三回を開始する。初めに、出頭した弁明者の確認をします。麻原彰晃こと松本智津夫代表。
 松本 (右手を挙げて答える)
(以下、追加証拠の要旨朗読など)
 受命職員 今日は松本代表に出頭していただいているので、破防法一四条の規定に基づき、意見陳述していただく。まず、証拠についての意見であるので関連のないことについてはいわないように。万難を排して出頭してもらったので、代表が主体的に陳述するように。弁明は本日をもって終了させたい。本来は要旨にとどめ、書面提出にしたいが、目が不自由なので本人にやってもらう。簡略、明確に、第三者が理解できる用語を使って話してほしい。代理人の意見で可能なものは省き、代表でなければできないことにとどめるように。長時間にわたるので着席したままで。
 代理人 将来、継続反復して暴力主義的破壊活動の恐れがあるかどうかについてだが、こうした政治的目的をもっていたという該当事実はありえない。将来、自ら犯罪を犯したり、信徒に犯罪を指示する意思があるか。
 松本 ええ、まあ、ちょっと今緊張しています。言葉が足りないところがあるかもしれませんが、ご容赦願います。私は逮捕されてちょうど一年になります。逮捕された後、教団について考えてきた。まず将来において、法の規制を破るようなことは決してないし、私もそのような指示をするつもりもありません。もし、そのようなことが分かったら、即座に止めたいと考えています。第二点として、特に、私は今、起訴勾留の身で、奪還がうわさされているが、(とりわけ)サマナ(出家信者)、信徒に聞いてほしい。この東京拘置所の部屋は、コンクリートが厚く、洞穴に近いと考えている。私としては今、個人的意見だけど、絶好の瞑想の機会だと考えている。私の機会を阻害することは何人たりとも行ってほしくない。拒否したい。
(略)
 代理人 実現されるものとして予言している例として、九二年十二月十八日の松本支部での説法を、九四年の松本サリン事件を予言したものとしている。
 松本 お願いがある。公安調査庁の証拠は作文というか、一部分を抜きとって作られているので、説法全体を読んでいただければ、一般の人もその危険性がないことが分かると思う。
 代理人 四ページにわたるもので、長いので、該当する部分を読み上げる。(以下、松本支部での説法を朗読。教団が作ったとされる『ヴァジラヤーナ・コース教学システム教本』によれば、その冒頭部分は次のようになっている)

 第二十八話(松本支部にて)
 現代は、まさに世紀末である。この世紀末という意味は、一九九〇年代を迎えたという意味ではない。例えば、ノストラダムスの予言詩の中にこのような詩がある。それは司法官が乱れ、そして宗教家が乱れると。この司法官が乱れとは、例えば裁判が正、あるいは邪というものの判定を正しくできなくなり、世の中に迎合し、そして力の強いものに巻かれる時代、それと同時に宗教が本来持っている、宗教の特性である人々を真に苦悩から解放するという役割を果たさないという意味である。まさに現代はその時代である。そしてこれは、今がその時代であり、そしてその成就は何を意味するかというと、わたしたちの近い未来において大いなる裁きが訪れることを予言している。
 この松本支部道場は、初めはこの道場の約三倍ぐらいの大きさの道場ができる予定であった。しかし、地主、それから絡んだ不動産会社、そして裁判所、これらが一蓮托生となり、平気で嘘をつき、そしてそれによって今の道場の大きさとなった。また水についても同じで、松本市はこの松本支部道場に、上水道、つまり飲み水を引くことを許さず、また下水道においても社会的圧力に負け、何とか下水道を設置することは目をつむったわけだが、実際問題として普通の状態で許可したわけではない。
 しかし、これらの現象は、別の見方をすれば大変ありがたいことといわざるを得ない。それはなぜかというと、例えばある化学変化を起こす場合、その化学変化を起こす場合には二つの条件が必要となる。一つは熱であり、一つは圧力である。また外的条件においては、触媒というものが必要となると。この三つをそれぞれ検討した場合、まず触媒はグル、あるいは真理の教えというものがそれを果たし、そして熱はその中で生活している、つまり真理を実践している人たちが大いに功徳を積むこと、そして外的圧力とは、いうまでもなく社会の理不尽な圧力であると。
 これらの圧力・熱・触媒という三つの力によって、普通では考えられないような化学変化が起き、新しい物質が生成される。まさにこれはわたしたちが、このけがれた人間社会から出離し、脱出し、解脱し悟るためのプロセスであるといわざるを得ない。
 そのような意味において、この社会的が圧力というものは、修行者の目から見ると大変ありがたいものであるということができる。
 しかし、これは修行者側から見た内容であって、これがもし逆にその圧力を加えている側から見た場合、どのような現象になるのかを考えると、わたしは恐怖のために身のすくむ思いである。(以下略)

 松本 まず、この説法と松本サリンの時期は一年以上ある。それだけじゃなくて、私たちは本質的に、七万二千本の気道(空気の道)から成っている。うち、むさぼりが二万四千本。怒り、愛着が二万四千本。無知、知恵が二万四千本。この三つのナーディ(気道)が存在している。七万二千本の中には、苦しみの人となる命題が存在する。それはいじめられること、たたかれることでしか落とすことができない。これが圧力。また、徳によってエネルギーを満たす作業を、ツァンダリーという。エクスタシーをもった熱を昇華と増加させることで、七万二千本の気道は至福に満ちる。新しい私と呼ばれる五つの身体が形成される。五つの身体は、変化身、この世界で生きる。法身、これは心の世界。報身、心とこの世界を通じる啓上の世界。金剛身、心の世界と啓上の世界の両方を生きる。それから本性身。五つの身体は、当然グルの教え、真理の教え、カルマが落とされることによって、形成することができる。
 グルの教えに従い、徳を積めば、これら五つの身体を形成できると説いている。他人に苦しみ、不幸を与えると、七万二千の管が詰まり、苦しみを受ける。仏教やヨガの修行者になら、そのように理解されて当然。公安調査庁の解釈は全く根拠がなく、私は笑ってしまいました。(公安調査庁は)意図的に証拠を作文、捏造していると思う。
 代理人 仏教の教えをそのまま説いたのか。
 松本 そうです。
 代理人 地主、松本市、裁判所に対する教団の仕返しを意味するのか。
 松本 そうではない。全くこの説法は関係ない。いわれのないことでございます。
 代理人 時期的にも一年半離れているし、一般信徒を対象に公開を前提とした説法だった。
 松本 そうだ。
 代理人 松本サリン事件の実行犯として、故村井秀夫氏、新実智光被告らの名前が挙がっているが、この説法の際にはいたか。
 松本 いなかった。例えば新実は当時、ロシア担当。他も美術、踊りなどの班に属しており、自分と一緒に行動していなかった。
 代理人 同様に、公安調査庁熊本県波野村……
 松本 (さえぎって)ちょっとよろしいでしょうか。ちょっと、少し疲れましたので、少し休ませてくれませんか。
(略)