京都アニメーション放火殺人事件(京都市伏見区放火殺人事件、2019年07月18日)の資料収集の会

(元・オウム真理教事件・資料収集および独立検証の会、できるかぎり同時進行)

検証1-1 1995年3月18日~3月20日の麻原彰晃(松本智津夫)の動向――『オウム法廷』第1上下巻より

(以下、敬称略。原則として、名前はあいうえお順)
(予定より1日早く公開した)

麻原彰晃松本智津夫)の動向、およびその根拠となる証言

1995年3月19日夜(不純物をふくんだサリンが生成された後)、第六サティアンの麻原(松井)の部屋に遠藤誠一が報告に来た。そのとき、麻原(松本)は「「いいよ、それで」と言って、サリンを分留せず、混合液の状態のままで本件犯行に使用することを了承した。」
(1995年10月24日、不明(遠藤誠一?)、中川智正初公判の検察側冒頭陳述、第1上巻P146)

1995年3月20日午後3時ころ、第六サティアン1階の麻原(松井)に村井秀夫、豊田亨広瀬健一横山真人が報告に来た。そのとき、麻原(松本)は「「シヴァ大神にポアされた」と述べ、本件犯行により死亡した者はシヴァ大神にポアされ、高い世界に転生したと伝え、本件犯行が松本の意思に基づくものであるので、安心するよう述べた。」
(1995年12月11日、不明(豊田亨または広瀬健一?)、初公判、第1上巻P284~285)
1995年3月20日午後4時ころ、第六サティアン1階の麻原(松井)に杉本繁郎、新実智光林泰男が報告に来た。そのとき、麻原(松本)は「「これは、ポアだからな。分かるな。瞑想しなさい。そして、『グルとシヴァ大神とすべての真理勝者方の祝福によって(ポアされて)よかったね』という詞章を一万回唱えなさい」と指示した上、被告人杉本らの労をねぎらい、被告人杉本らにおはぎとジュースを与えた。」
(1995年12月11日、不明(杉本繁郎?)、豊田亨広瀬健一・杉本繁郎三被告初公判の検察側冒頭陳述、第1上巻P284~285)

1995年3月20日午後11時ころ、第六サティアン1階の麻原(松井)に林郁夫が報告に来た。そのとき、麻原(松本)は「「シヴァ大神とすべての真理勝者方にポアされてよかったね。マントラを一千回唱えなさい」と指示した。」
(1996年3月26日、林郁夫、林郁夫第2回公判の検察側冒頭陳述、第1下巻P231)


〇引用

第1上巻
P146

(二)松本に対するサリン生成結果の報告と松本の指示
 遠藤は、生成した液体にサリンのほか不純物が含まれていたことから、そこからサリンだけを分留しようと考え、土谷に対し、これに要する時間を尋ねたところ、半日から一日は必要であると言われたため、その日のうちに分留することは不可能であると判断し、松本の指示を仰ぐこととした。遠藤は、第六サティアンの松本の部屋へ行き、同人に対し、「できました。ただし、まだ純粋な形になっておらず、混合物です」と言って、生成したサリンが混合液の状態である旨報告するとともに同人の指示を仰いだところ、同人は、遠藤に対し、「いいよ、それで」と言って、サリンを分留せず、混合液の状態のままで本件犯行に使用することを了承した。

P284~285

 1 犯行後の被告人らの行動と罪証隠滅工作等
 被告人広瀬および同豊田は、渋谷アジトに戻ってきたものの、サリン中毒により、縮瞳等の症状を呈していたことから、林郁夫の治療を受け、同人からサリン中毒の治療薬である硫酸アトロピンやパムを注射してもらった。
 被告人杉本、林泰男および井上らは、渋谷アジトにおいて、テレビのニュースで本件被害状況が大々的に取り上げられ、都内が大混乱に陥っていることを知り、本件犯行計画が一応成功したことが分かった。そこで、被告人杉本、林泰男、新実および井上は、林泰男ら実行行為者が本件犯行に使用したビニール傘、衣類などを焼却し、罪証隠滅を図ろうと考え、それらをゴミ袋等に詰めたものを自動車に積み込み、二台の自動車に分乗して、多摩川の河川敷に向かい、途中、東京都日野市内のヤマザキデイリーストアにおいて、百円ライターを二個購入し、さらに同都立川市内のガソリンスタンドにおいて、灯油十八リットルを購入した後、同日午後零時三十分ころ、同都日野市内の多摩川河川敷において、ビニール傘、衣類などに灯油をかけた上、ライターで点火して、これを焼却し、その後、同日午後四時ころ、第六サティアンに戻ったが、被告人広瀬、同豊田、横山、北村および外崎は、多摩川の河川敷に行かず、一足先に、北村、外崎の運転する普通乗用自動車二台に分乗し、同日午後二時ころ、第六サティアンに戻った。
 2 松本が被告人らから本件犯行の報告を受けた状況等
 被告人広瀬、同豊田および横山は、第六サティアンに戻ってから、村井から、松本のところに本件犯行の報告に一緒に行くよう言われ、九五年三月二十日午後三時ころ、村井とともに同サティアン一階の松本の自室に行き、椅子に座っている松本の前の畳に座った。そして、村井が、松本に対し、被告人広瀬ら三人が本件犯行を成功させて帰ってきた旨報告すると、松本は、被告人広瀬らに対し、「シヴァ大神にポアされた」と述べ、本件犯行により死亡した者はシヴァ大神にポアされ、高い世界に転生したと伝え、本件犯行が松本の意思に基づくものであるので、安心するよう述べた。
 被告人杉本、新実および林泰男は、同日午後四時ころ、第六サティアンに到着後、遠藤から、松本に本件犯行結果を報告したほうがよいと示唆を受け、その報告をするため、同サティアンの松本の自室に行き、同室の椅子に座っている松本の前に座り、それぞれ、自分たちのホーリーネームを名乗った上、新実が、本件犯行により死者が発生していることを報告した。すると、松本は、被告人杉本らに対し、「これは、ポアだからな。分かるな。瞑想しなさい。そして、『グルとシヴァ大神とすべての真理勝者方の祝福によって(ポアされて)よかったね』という詞章を一万回唱えなさい」と指示した上、被告人杉本らの労をねぎらい、被告人杉本らにおはぎとジュースを与えた。

第1下巻
P231

 2 被告人が松本に本件犯行の報告をした状況等
 被告人は、第六サティアン三階にいたところ、松本から、同人のもとにくるよう連絡を受けたため、同日午後十一時ころ、同サティアンの松本の自室に行き、東京から帰って来たことを報告すると、松本は、被告人に対し、「シヴァ大神とすべての真理勝者方にポアされてよかったね。マントラを一千回唱えなさい」と指示した。

〇補足
第1上下巻のどこを読んでも、3月20日午前8時~午後3時までの、麻原(松本)の動向が確認できない。ほかの巻も調べるとはっきりすとると思う。このことは、当時のオウム真理教の状況を考えれば、非常に奇妙である。ほかにも奇妙なことがあるのだが、それはあとでくわしく書く。