京都アニメーション放火殺人事件(京都市伏見区放火殺人事件、2019年07月18日)の資料収集の会

(元・オウム真理教事件・資料収集および独立検証の会、できるかぎり同時進行)

ドストエフスキー短編

『ボボーク』(『ドストエーフスキイ全集14 作家の日記上』P049~P066、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)[挑戦55日目]

る。 しかし、居残ったもう一人のヴラス、つまり誘惑者のほうはどうなったか? 伝説は彼が憫悔のためにはって行ったとは語っていない。彼については何事をも伝えていない。あるいは彼もはって行ったのかもしれない。が、あるいは村に残って、今でも事もなく…

『おかしな人間の夢』その2(完)   (『ドストエーフスキイ全集15 作家の日記下』P129~P136、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)[挑戦16日目]

苦しんだのだ。おお、おれはすぐにその時でさえ悟ったのだが、多くの点について、おれはぜんぜん彼らを理解できそうもないと思った。現代のロシヤ人であり、ペテルブルグの進歩主義者であるおれにとっては、たとえば、彼らがあれだけ多くのことを知りながら…

『おかしな人間の夢』その1   (『ドストエーフスキイ全集15 作家の日記下』P117~P128、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)[挑戦15日目]

おかしな人間の夢 ――空想的な物語―― 1 おれはおかしな人間だ。やつらはおれをいま気ちがいだといっている。もしおれが依然として旧のごとく、やつらにとっておかしな人間でなくなったとすれば、これは、位があがったというものだ。だが、もうおれは今さら怒…

『おとなしい女』その4(完)   (『ドストエーフスキイ全集14 作家の日記上』P533~P537、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)[挑戦14日目]

ろが、朝になると…… 朝になると※[#疑問符感嘆符、1-8-77] 気ちがい、この朝は、今日のことではないか、まださっき、ついさっきのことではないか! よく聞いて、思いをいたしてもらいたい。さきほど(これは昨日の発作の後のことである)、わたしたちがサ…

『おとなしい女』その3   (『ドストエーフスキイ全集14 作家の日記上』P521~P532、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)[挑戦13日目]

った」のである。夜中に彼女は譫言《うわごと》をいいだし、翌朝になって、悪性の熱病とわかった。彼女は六週間、床についてしまった。 第 2 章 1 傲慢の夢 ルケリヤはたった今、このままわたしのところに住みつこうと思わない、奥さんの葬式がすんだら、…

『おとなしい女』その2   (『ドストエーフスキイ全集14 作家の日記上』P509~P520、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)[挑戦12日目]

創らざるを得なかったのだ、――だが、実際、わたしはなんだって自分をそしっているのか! システムは真摯なものであった。いや、まあ、聞いてもらおう、人を裁くなら、事柄を知ったうえで裁くべきだ……そこで、聞いてもらおう。 さて、どんなふうに始めたもの…

『おとなしい女』その1   (『ドストエーフスキイ全集14 作家の日記上』P497~P508、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)[挑戦11日目]

作家の日記十一月おとなしい女 ――空想的な物語―― 著者より わたしはまずもって読者諸君に、今度、いつもの形式をとった『日記』の代わりに、一編の小説のみを供することについて、お許しを願わねばならぬこととなった。しかしながら、事実一か月の大部分、わ…

『初恋』   (『ドストエーフスキイ全集5 地下生活者の手記』P115~P151、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

初恋 フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)馥郁《ふくいく》|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)|謎々遊び《シャラード》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指…

『鰐』  (『ドストエーフスキイ全集5 地下生活者の手記』P415~P450、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

鰐 ――パッサージュにおける突拍子もない出来事―― フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)鸚哥《いんこ》|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)|わたしの最愛の《マイン・アラアリ…

『いやな話』   (『ドストエーフスキイ全集5 地下生活者の手記』P298~P347、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

いやな話 フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)男子《おのこ》|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)万事|式《しき》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数…

『プロハルチン氏』(『ドストエーフスキイ全集1 貧しき人々』P283―P311、1969年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

プロハルチン氏 フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)朔日《ついたち》|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)毎月|朔日《ついたち》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の…

『ポルズンコフ』(『ドストエーフスキイ全集1 貧しき人々』P403―P417、1969年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

ポルズンコフ フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)糧《かて》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) …

『人妻と寝台の下の夫』2(『ドストエーフスキイ全集2 スチェパンチコヴォ村とその住人』P289―P315、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

[#6字下げ]2 その翌晩、イタリア劇場の出し物は何かのオペラであった。イヴァン・アンドレーイチは、まるで爆弾のように客席へ飛び込んだ。彼が音楽に対してこれほどのfurore 即ち情熱を示したことは、いまだかつてその例がないのであった。少なくとも…

『人妻と寝台の下の夫』1  (『ドストエーフスキイ全集2 スチェパンチコヴォ村とその住人』P273―P289、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

人妻と寝台の下の夫 フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)彼女《あれ》|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)今夜|仮面舞踏会《マスカラード》[#]:入力者注 主に外字の説明…

『正直な泥棒』(『ドストエーフスキイ全集2 スチェパンチコヴォ村とその住人』P319―P336、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

正直な泥棒 フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)戸外《おもて》|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)たまに|きゃべつ汁《シチイ》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の…

『クリスマスと結婚式』 (『ドストエーフスキイ全集2 スチェパンチコヴォ村とその住人』P339-P346、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

クリスマスと結婚式 フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)降誕祭樹《ヨルカ》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のペ…

『弱い心』その2 (『ドストエーフスキイ全集2 スチェパンチコヴォ村とその住人』P253―P269より、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

きみも苦労性だね。どうしたわけか、すっかり隠さずに話してくれないか。ただあれだけのことで、そんなになるなんて……」 ヴァーシャはひしと彼に身を寄せたまま、何一つ口がきけなかった。息がつまったのである。 「たくさんだよ。ヴァーシャ、たくさんだよ…

『弱い心』その1 (『ドストエーフスキイ全集2 スチェパンチコヴォ村とその住人』P227―P252より、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

弱い心 フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)母娘《おやこ》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (…

『九通の手紙に盛られた小説』 (『ドストエーフスキイ全集1 貧しき人々』P314―P325より、1969年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

九通の手紙に盛られた小説 フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)三《み》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページ…

『白夜』その3 (『ドストエーフスキイ全集2 スチェパンチコヴォ村とその住人』P393―P401より、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

たんだ! もういってしまったことは取り返しがつきゃしない! そうじゃありませんか? さあ、そこで、今あなたは何もかも知ってしまわれました。で、それが話の出発点になるのです。さて、それでよしと! もう何もかもけっこうです、まあ、聞いてください。…

『白夜』その2 (『ドストエーフスキイ全集2 スチェパンチコヴォ村とその住人』P371―P392より、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

二度と返らぬ過去に調子を合わせて、現在を築き上げるのが好きなんです。こうし、て、よく必要もなければ目的もなく、影のように侘しくもの悲しげに、ペテルブルグの街々や横町をさ迷い歩くのです。その思い出のすばらしいこと! たとえば、ちょうど一年まえ…

『白夜』その1 (『ドストエーフスキイ全集2 スチェパンチコヴォ村とその住人』P349―P370より、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

白夜 感傷的ロマン ――空想家の追憶より―― フョードル・ドストエーフスキイ 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)石島《カーメンヌイ》|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)贋|紙幣《さつ》[#]:入力者注 主…

『キリストのヨルカに召されし少年』『百姓マレイ』『百歳の老婆』『宣告』(『ドストエーフスキイ全集14 作家の日記上』より、1970年、米川正夫による翻訳、筑摩書房)

やまったくあり得べからざるもののように思われてきたのだ。いったい、まあいったい、黄金時代は瀬戸物の茶碗の模様よりほかには、存在しないのであろうか? 閣下、黄金時代[#「黄金時代」に傍点]という言葉を聞いて、そう顔をしかめないでください。誓っ…